子供に死を教える
ご近所のアイドル犬が旅立ってしまった。
ちょうど保育園の帰り道にある料理屋の看板娘さん。
おっとり温厚な人柄(犬柄?)で、小さい子がしつこく頭を撫でくりまわしても、嫌な顔もせず、優しい茶色の瞳をして撫でられていた。
吠える犬は怖い長男もこの子だけは平気で、よく帰り道に寄っては撫でていた。
長男にとっては初めて直面する「死」である。
夫と話し合って、定番だが「お星になったんだよ」と教えることにした。
昨日の帰り道も、やっぱり「リンちゃんはいる?」と聞いて寄っていった。
「リンちゃんはお星になったよ」と答えると「どこでお星になったの?」
リンちゃんはお星になって、〇ちゃん(長男)のことをお空の上から見ているよ。
もう病気で体が辛いのも治って、楽しく幸せに暮らしているよ。
…そんな内容のことを、長男にわかるよう短くシンプルに伝えた。
長男に教えているうちに、たぶん本当にそうなんだと思えてきた。
子育てって、普段は忙しい生活で考えないようなことを考えさせる。そんな機会を与えてくれる。
ほんとに育児って「育自」だと思う。
長男、「リンちゃんは無くなっちゃった」
(亡くなる、ではなく無くなる、というニュアンスで理解しているよう)
「リンちゃんは餓死して死んじゃった」(餓死じゃないし・・・!)
とつぶやいた後、
「もうリンちゃん会えないの?」
と聞いてきた。
いつでも会えるよ。
いつもの場所にはもういないけど、夜お空を見上げると、お星になったリンちゃんに会えるよ。と答えると、
「お星の一つがリンちゃんなの」
と呟いていた。たぶんわかったかな…。
リンちゃんがいた場所にはノートが置かれていて、通りすがりの人がメッセージを書けるようになっていた。人気者だったなぁ。
長男が成長していく、その過程にいつもいたリンちゃん。
寂しいけれど、たくさんの素敵な思い出をありがとう。